診療科のご案内

脊椎脊髄センター

令和4年4月から当院に赴任しました脳神経外科の宮尾です。 当院では脳神経外科全般の疾患を扱いますが、私の赴任に伴い脊椎脊髄センターを開設いたしました。 現在の高齢化社会におきましては首や腰に持病を抱える人が増加しています。 従来より、脳神経外科では脳出血や脳腫瘍さらには頭部外傷など頭の病気を扱ってきましたが、脊椎脊髄センターでは脊髄(頸椎や腰椎)の異常を来す方々の診療を中心に行っていきたいと考えています。

1.首の病気

①頸椎症

これは頸の骨が変性・変形により手を含めて上肢がしびれたり、痛んだりする病態です。 首の痛みは時に頭痛まで引き起こす場合があります。安静・投薬・理学療法で症状が改善する場合がほとんどです。

②頚椎症性脊髄症

先にあげた頸椎症は主に脊髄から出る神経(神経根)の症状や首の周りの痛み(軸性疼痛と呼びます)程度ですが、 頸の変性変化が強い場合には脊髄自体(この場合は頚髄ですが)に障害が及びます。 痙性跛行といって突っかかるような歩き方になり、けつまずきやすく、転倒する危険もあります。 症状の進行によっては手の細かい動作もできなくなります(ボタンがはめにくい、字が上手く書けない)。 このような場合には椎弓形成術などの外科的加療を必要とすることがあり、当院でも対応可能です。

③後縦靭帯骨化症

頸の変性変化が強い場合には脊髄自体(この場合は頚髄ですが)に障害が及びます。 痙性跛行といって突っかかるような歩き方になり、けつまずきやすく、転倒する危険もあります。 症状の進行によっては手の細かい動作もできなくなります(ボタンがはめにくい、字が上手く書けない)。 このような場合には椎弓形成術などの外科的加療を必要とすることがあり、当院でも対応可能です。

④頚椎椎間板ヘルニア

腰のヘルニアはご存じの方が多いと思いますが、首にも同様に椎間板ヘルニアという病態があります。 首の骨(椎体)の間にある椎間板が飛び出して神経根に当たり、強い痛みを生じることがあります。 保存的加療に抵抗性の場合には外科的療法(通常は頚椎前方除圧固定術)が行われますが、 最近はいろいろな新しい薬(リリカ、タリージェ、トラムセット、サインバルタなど)の出現で手術を回避できるケースが増えています。 但しここにあげました内服薬は、眠気やふらつき等の副作用により、原則運転は禁止されています。

2.腰の病気

①腰部脊柱管狭窄症

下の図にあるように背骨の前方の骨(椎体)と後方の骨(椎弓)によって囲まれた空間にあるのが脊柱管で、腰部の脊柱管を腰部脊柱管と呼びます。 脊柱管は硬膜という硬い膜で覆われていて、内部はくも膜の下に脳脊髄液で満たされ、脊髄神経が多数走っています。

この脊柱管が加齢や過負荷により周辺の椎間関節などの変性が進行し、骨が分厚くなることで、脊柱管が狭くなった病態が腰部脊柱管狭窄症です。 この病態により脊髄神経が圧迫されて、立位の持続や運動負荷時の血流障害により、しびれや痛み等の神経症状が出現します。

この症状は休憩すると改善し、また歩き出すと症状が出現することから、間欠性跛行と言われています。 また、前かがみになることで物理的に脊柱管狭窄が軽減することから、歩くことは不自由でも自転車であればスイスイ走れたり、 スーパーで台車を押す(前かがみになりますから)と症状が出ない(ショッピングカートサインと呼ばれています)など、症状が特徴的です。

②腰椎椎間板ヘルニア

病態的には首の④で述べたのと同じ病態ですが、腰の場合には脚の痛みに加えて腰の痛みも併発することが多く、 歩くこともできなくなるくらいの痛みを訴える場合もあります。 これも鎮痛剤のコントロールが困難な場合には外科的加療の適応となりますが、 最近は直達手術以外に経皮的に融解酵素を注入する(ヘルニコア:前段落の図)ことで症状の改善を図る方法なども行われるようになってきています。

③胸腰椎圧迫骨折

これも高齢者社会において増加傾向している疾患です。 骨粗鬆症のある方が、軽微な外傷により胸椎や腰椎の椎体骨折(時に病的骨折と言われます)を起こします。 従来は安静と疼痛コントロールという治療法が取られてきましたが、通常は1ヶ月を超える安静が必要でした。 しかし、このような骨折を引き起こされる方の多くは高齢者で、こういった方が1ヶ月程度の安静臥床を行うと、 その後にリハビリテーションを行っても元のような生活ができなくなり、介護度が上がるということがよく見られます。 こういったことから治癒の遷延が予想される症例に対して、骨折椎体にセメントを注入して疼痛コントロールが可能で、 早期離床が期待できるBKP(Balloon Kyphoplasty:風船を用いて骨セメントを注入する椎体形成術)という治療が行われるようになってきました。 (下図①~④)4週間程度の安静を行っても体動時の痛みが強く、日常生活が困難な症例に対して実施するのが原則でしたが、 超高齢者や他疾患による廃用が危惧される症例には比較的早期から本術式を行うになってきています。 手術には全身麻酔が必要ですが、実質1時間から1時間半程度の手術となります。

3.脳神経外科医が行う脊椎手術とは

本来、脳神経外科では脳血管障害や脳腫瘍に対して手術を行ってきましたが、 これには手術用顕微鏡を用いて精細な操作を行い、できるだけ残存する神経機能を温存することが求められてきました。 こういった技術を脊椎手術にも応用し、最小の侵襲で手術を行うことで、早期離床、短期入院および早期の社会復帰を目指すことを目的としています。 脳神経外科における手術の特徴としては ①可能な限り最小の侵襲で、最大の効果が得られるように工夫する。 ②すなわち、正常組織をできるだけ温存することで、術後の疼痛や臥床期間および入院期間を短縮し、日常生活や仕事復帰などを早期に無理なく行えることを目指す。 ③そのために、手術用顕微鏡を用いて、より小さな皮膚切開と最低限の筋肉および靱帯侵襲で最大限の効果を目指す最小侵襲手術(MIS)を行なう。 それでは、腰部脊柱管狭窄症に対して行う手術を例に挙げて説明します。

従来の肉眼的手術

正常筋肉や靱帯を大きく損傷するため、術後疼痛が強く、術後安静期間が長くなる傾向があります

片側進入両側除圧

片側の筋肉のみを剥がして進入し、手術用顕微鏡を利用して同側および対側の骨・靱帯を削除・除去する。効果は従来の肉眼手術と同様で、侵襲は半分以下となります。

棘突起縦割法

脊椎の後方の骨(棘突起)に筋肉を付着させたまま、左右に展開するため筋肉への侵襲は少ない。 先ほどの片側進入手術の弱点であった多椎間病変に対しても適応可能です。このような工夫の結果、 原則的には手術の翌日から歩行していただき、術後1週間程度での退院や早期社会復帰が可能となります。


さらに腰椎に変性すべりや側湾症がある場合には神経の除圧に加え腰椎の固定術を必要とする場合もあります。

4.脳脊髄液漏出症(特発性)

脳脊髄液漏出症は脳脊髄液減少症や低髄液圧症ともいわれ、かつては交通外傷との関連も取り沙汰された病態です。 実際には外傷などの原因が明らかでない(特発性と言います)ものが半数以上を占めることも分かってきています。 硬膜という脳・脊髄を覆っている膜のどこかが破れて(この病態では脊髄レベルでの漏出が多いです)髄液が硬膜外に漏れ出すことで,頭痛などの神経症状が出現します。 症状は頭痛の他に、めまいやふらつきの他、耳鳴り、耳閉感、複視、などと多岐にわたります。これらの症状は立位や座位など頭の位置が背骨より高い位置にあるときに出現し、 頭の位置が背骨と同じ高さ、すなわち寝転ぶと、速やかに消失するという特徴があります。このような病態は徐々に知られるようになってきていますが、 この診断を速やかに行える医師はまだまだ限られています。私は前任地で15年以上前から本病態の診療に取り組んで参りました。 治療は安静と補液が第一に選択されます。発症後早期に診断が付いて安静をキッチリと行った場合には、8割の方が改善します。 また、安静では改善しない場合には硬膜外自己血注入(ブラッドパッチ)という方法もあります。重要なことは早期に診断して早期に治療を開始することです。 診断が付かなかったために時間が経過してしまい、難治性となるケースも見受けられます。 診断は全脊椎MRIを特殊な条件で撮影することで行っていますので、「体位の変化で寛解と増悪を繰り返す頭痛」があれば、受診をお勧めします。

脊椎脊髄センターでは以上にあげた疾患群について診療を行っていこうと考えています。 私、宮尾は月曜午後に脊椎脊髄専門外来を行います。さらに偶数土曜日午前中には大阪大学・脳神経外科から脊椎専門医が外来を担当します。 ここにあげたような病気の可能性がある方、あるいは他の病院で脊椎の病名を告げられたものの、専門的な診療を希望される方はお気軽にご相談ください。

診療時間

 
9:00~12:00 宮尾泰慶
13:00~15:30 宮尾泰慶

外来担当医のご紹介

宮尾 泰慶
宮尾 泰慶

脳神経外科部長/脊椎脊髄センター長

資格
日本脳神経外科学会 専門医
日本脊髄外科学会 指導医
日本脊椎脊髄病外科学会 専門医