急性虫垂炎の緊急手術について

1.緊急手術とは何ですか?

 急性虫垂炎の患者様に対して手術を行うかどうかを決定することはこちらのページで説明しているように,一口に急性虫垂炎と言っても軽症な炎症から重症の炎症までさまざまありますが,その最も重篤な状態が「緊急手術が必要な場合」なのです.

「痛い.痛い」と外来に来られ,入院となっても,多くの場合,まず抗生物質(化膿止め)の点滴で一晩様子をみて,翌日,翌々日の状態で手術するかどうか判定して手術ということになるのですが(待期手術),抗生物質での治療を待つまでもなく,すぐに手術室に運ばれる状態が緊急手術です.



2.急性虫垂炎で緊急手術が行われる状態

 待期手術ではなく,緊急手術となる状態
  @虫垂の炎症で穿破(破れる)し,腹膜炎へ進行しそうな状態
  A虫垂が極めて重症の炎症で腹膜炎となり,全身状態が不良で,すぐに腹腔内の洗浄が必要である.
  B炎症の程度に関係なく,とにかく患者様が痛くて我慢できない.

3.緊急手術は危険なのですか

 緊急手術と待期手術の最大の違いは、緊急手術では炎症の程度が重症であることが多く,患者さんの全身状態(これまでどのような疾患に罹患されているか)も完全には把握しきれないまま手術に臨まなければならないこと.また場合により重症な炎症というだけで,術前に疾患の診断が完全に付いていない状態で手術になった場合すらあるということです。
従って麻酔に対する危険性、手術中の管理、術後合併症などの面で、予測できないことが起こる可能性は通常の待期的手術より大きいと言わざるを得ません。

通常の手術の場合には、患者さんが手術に耐えられるかどうか、例えば心臓や肺や肝臓や腎臓に病気があるか、対応法など検査、検討が可能です。しかし、緊急手術の場合これらの検査は不十分なままで手術を行わざるを得ませんので、手術中または手術後にそれらの障害が起きる可能性は通常の手術より高くなります。