盲腸,上行結腸憩室炎 

「憩室炎」と言われましたが.

 急性虫垂炎と見分けのつきにくい病気として盲腸や上行憩室といった、右下腹部の結腸に憩室炎が発症した場合があります。憩室とは結腸の形を保っている筋層に弱い部分があって、この部分が袋状に外に突出した状態で成人の何割かにに認められる状態です.
この袋状の部分に便がつまったり、強力な圧が加わると、虫垂炎と同じように,ここで細菌が増速し憩室の壁が傷ついたりすることで感染を起こすことがあります。
しかし虫垂と違って結腸壁に存在する憩室は、奥行きが浅いため,便などの内容の停滞があまりなく、多くの場合,炎症が重篤化する事は少ないのが特徴です.
そうした場合は,抗生物質を投与することにより感染を制圧できることが多いため、手術が必要なことは稀です。


憩室炎は大腸のどこの場所にもできるのですが,盲腸,上行結腸の憩室に炎症ができた時には虫垂との区別がつきにくく,特に盲腸憩室など炎症を起こす場所が虫垂と近いと腹部所見では見分け月きにくいことになります.

ですから腹部CT検査,超音波診断が一般的ではなかった時代(1980年以前)には,腹部所見でしか判断できませんでしたので,虫垂炎と誤って憩室炎の患者様に手術をしてしまったりということもありましたが、最近は,これらの画像診断で簡単に鑑別ができため、そのような事態は少なくなってきています。