4.胆石症の治療(内科治療)
ー胆石症の治療は手術だけではありません.それぞれの治療法を知ってください 

胆嚢内に結石があっても癌や,毒物のように体に害を及ぼさないので,何も症状の無い方が「即手術」をする必要はなく,そのままにしておくとか,内科的な治療で様子を見てゆくことでも可能です.
 でもすでに将来胆石による合併症(詳細はこちらへ)が起こる危険が高い状態の患者様は,いたずらに治療を先送りにするのではなく,何らかの手段で治療を開始するべきです.
時々傷んで入院を繰り返すとか,胆嚢炎などの経験のある方は,重篤な合併症が起こる可能性が高いので手術をお勧めします.

もっとも胆石の人が胆嚢癌になりやすいとのデーターについては,あくまで症状のある人(胆嚢炎を繰り返す人)のデーターです.無症状の人は胆石の無い人と同様の発癌率であるといわれており,この理由で手術を受けなければならないということはありません).
もっとも,一生胆石を持ち続けるということは,面倒な病気であることは確かなようで,ハーバード大学のMartin Carey教授は胆石症を「最も医療費のかかる消化器疾患のひとつ」と言っています.


a)手術以外の治療法
@胆石溶解剤
胆石の成分はコレステロールが多いため,胆汁中にコレステロールを溶かす物質が大量に胆管や胆嚢に流れるように「結石を溶かす」薬剤を持続して飲むことで結石が溶けることがあります.

ただし,こうした内科治療で結石が溶ける可能性は高いのですが,結石がコレステロール以外で形成されている場合や,コレステロールに石灰成分が多い場合,石灰が卵の殻のようになっている場合など結石の状態により,また胆嚢炎を繰り返し胆嚢の収縮が十分にできないほど荒廃した胆嚢の方は薬で溶かすことは難しくなります.また一旦は胆石はなくなったとしても,投薬を中止すると,またすぐに結石が出来るであろうということです.

ある施設で252例に溶解剤を投与して54例(21%)の結石が完全に消えたのですが.うち11例(20%)に再発を認めたという報告があります

A超音波体外衝撃波
大きな結石の塊を溶かすよりは細かくしたほうが溶解しやすいですから,超音波で結石を壊して溶かすと効率的ということで超音波で細かく砕いて,先のお薬で溶けやすくする方法も以前は行われていましたが,お薬で溶けにくい結石に対しては効きめがなく,最近はこの治療法で治療される方は少なくなってきました.


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